■イントロダクション 　起きたことは変えられないのだけれど、それでも思ってしまう。 　自分が上手くやっていれば、何かが変わったのだろうか、と。 　辛すぎる出来事だった。 　あの時以来、視界に入る全てが濁ってしまった。 　自分を囲む悲しそうな眼差しも、怯えた瞳も、何も元には戻らない。 　俺にはただ、殻に閉じこもることしか出来なかった。 　そんな時、風のように現れた彼女。 　彼女の瞳は、透き通るように誰も映していない。 　そのことが、今の俺には少しだけ、救いのように思えた。 ■ストーリー 　浅井智晴は、どこにでもいそうな普通の高校生。 　これといった取り柄もなく、平凡な日々を送っていた。 　だがある日、立ち直れないほどの裏切りを受け、人を信じることが出来なくなってしまった。 　それまでの生活は一変し、人付き合いも上手くいかなくなり、周囲の人間は次第に離れていく。 　気がつけば、智晴の心のドアの前には三人の少女だけが残っていた。 　転校生の翠は、興味本位でドアを蹴破ろうとしていた。 　幼馴染みの夏海は、ドアを開ける勇気がなかった。 　そして、妹の美希は……。 　これは、不器用な人間ばかりが集まった、青春の物語。
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